このページの目次
第421回「倭の前方後円墳と東アジア(1室)」第420回「ハワイから見直す近現代:移民・戦争・民主主義」第419回「倭の登場(1室)」第418回「多様な縄文列島(1室)」第417回「浮世絵の中の妖怪-表現と機能-」第416回「最終氷期に生きた人々(1室)」第415回「歴史のなかの年号」第414回「第1展示室『先史・古代』オープン」第413回「平田篤胤が遺したもの -幕末政治と思想のゆくえ-」第412回「市民参加で読む地震史料」

第421回「倭の前方後円墳と東アジア(1室)」

開催要項

日程 2019年12月14日(土)
講師 松木 武彦(本館考古研究系)

開催趣旨

古墳が示す王権の成立は、これまでは日本列島各地の有力者の争いの中から、それに勝利した大和が覇権を確立して大王を立てたことのしるしだと考えられてきました。そのために、前方後円墳という墳形そのものや、鏡などの「威信財」が、大和の大王から各地の有力者に配布されたことなどに、研究の焦点が当てられてきました。しかし近年では、古墳すなわち有力者の大きな墳墓の出現は、日本列島だけではなく、東アジア全体にわたる動きだったことがわかってきまています。その中で、関東もまた、九州や近畿とともに、独自の動きをみせながら古墳時代の日本列島社会を主体的に形成していった一員であることも、明らかになりつつあります。さらに、古墳時代社会は、大きな古墳に葬られた大王や王だけが主導したのではなく、彼ら彼女らを盛り立てる民衆の動きが、その歴史を演出したのだということも強く認識されています。

このような最新の視点が、リニューアル展示にどのように盛り込まれているのかを、埴輪・土器・武器などの展示の内容に即して詳しく説明しながら、近年の考古学が解き明かしつつある新しい古墳時代像をご紹介します。

第420回「ハワイから見直す近現代:移民・戦争・民主主義」

開催要項

日程 2019年11月9日(土)
講師 原山 浩介(本館歴史研究系)

開催趣旨

日本から、さまざまな地域へ「移民」が旅立っていった時代がある、という言い分に、さほど違和感はないでしょう。しかし、その「移民」という言葉は、実に曖昧で、恣意的なイメージを伴っています。このことを考えておくことは、ハワイへの「移民史」、そしてハワイの歴史を考える上で、実は大変に重要なことです。講演では、まずはこの、「移民とは?」という問いを置いた上で、ハワイの歴史をたどることにしたいと思います。

ハワイの、しかも「日本人移民・日系人」という、私たちにとっていくらか近しい存在を手がかりにしたとき、次の三つのテーマが浮かび上がります。第一に、「出稼ぎ」と「定住」の線引きの難しさがあり、これは実は21世紀のグローバルな人の移動を考える手がかりにもなります。第二に、「民主主義」や「フェア(fairness)」という、昨今、揺らぎがちな課題を正面から考えることができます。そして第三に、「戦争」「国家」とは何かという問題を問い直す琴ができます。この、「出稼ぎ−定住」「民主主義」「戦争−国家」という3つの論点を貫く形で、ハワイという場から、そもそも近代化と、そして20世紀を規定した冷戦体制を見直すことができます。

議論は何層かにわたりますが、ハワイを舞台に、具体的な資料とストーリーのなかから考えていくことにしたいと思います。

第419回「倭の登場(1室)」

開催要項

※台風19号の影響により延期しておりましたが、下記の通り開催いたします。

日程 2019年11月16日(土)
講師 上野 祥史(本館考古研究系)

開催趣旨

紀元前1世紀の後半ごろ、日本列島に新たな動きが生じた。中国との直接の交流が始まり、王朝との政治交渉が始まりました。金印は、その関係を象徴的に示しています。卑弥呼や倭王武たちの中国遣使、飛鳥・奈良時代の政治交渉や国際交流など、その後の日本列島では中国から影響を受けて社会が大きく変化しました。中国や朝鮮半島との密接な関係が、日本列島の社会形成において大きく作用する新たな時代の幕開けです。

この弥生時代後期から古墳時代にかけての時期は、地域社会に有力者が登場し、より遠方の地域と複雑に結びつくネットワークが各地の社会にみえ始めました。中国や朝鮮半島との関係と連動して、日本列島内部の様子も変化したのです。その先に、前方後円墳の築造に象徴される、全国的な政治秩序が登場してきます。

金印を手にしてより、前方後円墳が登場するまでの間、日本列島を代表する倭王が登場するまでの様子を、東アジアと日本列島各地を旅しつつ眺めてみることにしましょう。

第418回「多様な縄文列島(1室)」

開催要項

日程 2019年9月14日(土)
講師 山田 康弘(本館考古研究系)

開催趣旨

歴博の第一展示室は2019年3月19日にリニューアルをしました。そのなかでも大テーマⅡ「多様な縄文列島」では、考古学的な知見だけにとどまらず、縄文人骨の研究から判明した事実や、年代測定・同位体による食性分析の結果などを取り入れて、当時の暮らしぶりを大胆に復元しました。

今回の講演では、縄文時代における本格的な定住生活の開始が、多くの文化的多様性を生み出したということをお話します。特に、大テーマⅡの展示内容について、その背景となった研究成果の中から次の3点を取り上げます。

(1)縄文時代の時間的枠組みをどう考えるか?→最新の年代測定の結果、縄文時代の始まりは少なくとも約16,500年前であり、その終わりは約3,000年前であるらしい。その場合、縄文時代の時間的枠組みをどう理解するか。

(2)縄文時代の生業的枠組みをどう考えるか?→高度に発達した植物管理技術、特にクリ・ウルシ・マメ類の栽培をどう評価するか?

(3)縄文時代の社会的枠組みをどう考えるのか?→平等社会とされてきた縄文時代に、身分の上下や階層化した社会が存在した可能性が指摘されている。これをどう考えるのか?

第417回「浮世絵の中の妖怪-表現と機能-」

開催要項

日程 2019年8月10日(土)
講師 大久保 純一(本館情報資料研究系)

開催趣旨

江戸時代後期、浮世絵においては、この世のものではない幽霊や、超自然的存在である妖怪などを描く際に、その怪異性を際立たせるためのモティーフや技法が工夫されていきます。そのキーワードの一つは ‘モノクローム’ ですが、葛飾北斎の読本挿絵などの中で試みられた漆黒の闇の中に薄墨で摺られた幽霊の姿は、その後の幽霊・妖怪画の表現として定着していきます。

またモティーフの面でいえば、「百鬼夜行絵巻」など、中世の絵巻の系統をひくものとは別に、無数の妖怪たちを集合的に描いたものも「百鬼夜行」と呼ばれるようになります。天保14年(1843)年に、背景に無数の妖怪をモノクロームで描いた歌川国芳の「源頼光公館土蜘作妖怪図」が天保の改革を風刺したとの噂が立ってヒットした後、闇の中にうごめく無数の妖怪たちの姿は、幕末の浮世絵において「風刺画」であることを示唆する「コード」として機能していくのです。

第416回「最終氷期に生きた人々(1室)」

開催要項

日程 2019年7月13日(土)
講師 工藤 雄一郎(本館客員准教授)

開催趣旨

リニューアルした総合展示第1展示室(先史・古代)の最初のコーナーが「最終氷期に生きた人々」です。約260万年前から現在まで続く氷河時代の中で、地球が最も寒かったのが最終氷期(約11万~1.2万年前)です。「最終氷期に生きた人々」の展示は約4万年前から約1.2万年前までの時間を対象としてます。これは、日本列島に初めて人類が登場した後期旧石器時代から縄文時代草創期までの時間と対応します。約3.7万年前にホモ・サピエンスは日本列島にやってきました。後氷期とは全く異なる環境の中で、当時の人々は移動性が高い狩猟採集の生活を営んでいました。彼らはどんな生活を送っていたのでしょうか。

最終氷期の終わり頃の約1.6万年前頃、日本列島で最古の土器が出現し、縄文時代が開始されます。この時期は晩氷期とも呼ばれる、気候の激変期でもありました。
この講演会では、「最終氷期に生きた人々」の展示の見どころについて紹介します。

第415回「歴史のなかの年号」

開催要項

日程 2019年5月11日(土)
講師 小倉 慈司(本館歴史研究系)

開催趣旨

4月1日に5月1日より新しく用いられる元号「令和」が公表されました。この元号の発表にあたっては、これまでとは異なり、文字の典拠が国書から選ばれたことが大きな話題となりましたが、そもそも元号はどのようにして決められてきたのでしょうか。また、なぜ今回は、新天皇即位と同日に改元することになったのでしょうか。ちなみに平成改元時は、即位の翌日に改元されています。

現在、使用することが当たり前とされている元号(年号)は、歴史をさかのぼっていけば、使用されていない時代もありました。古代日本では7世紀に年号を使い始め、701年より本格的な使用を開始したのです。それ以来、継続して使用されてきたとはいえ、年号の変え方、年号の文字の選び方には様々な変遷がありました。今回は、その元号(年号)の歩んできた歴史をたどってみたいと思います。

第414回「第1展示室『先史・古代』オープン」

開催要項

日程 2019年3月23日(土) ※時間は通常と異なり 10:00~12:00 となります
講師 藤尾 慎一郎(本館考古研究系)

開催趣旨

総合展示第1室「先史・古代」が36年ぶりにリニューアルオープンしました。第1室は約3万7千年前の旧石器時代から10世紀の平安時代中ごろまでを、6つの大テーマと2つの副室に分けて展示しています。

この36年間で日本列島における土器は約3500年古くなり、氷河時代に出現していたことがわかりました。また水田稲作も約500年早く始まっていたことがあきらかになり、金属器がない石器だけの時代が600年あまりも続いていたことがわかりました。こうした成果は、国立歴史民俗博物館が主導する人文科学と自然科学による学際研究の賜です。こうした最新の学問成果を各テーマの随所に反映させて展示を構成しました。

本講演会では、リニューアル後の展示の見所を、先の展示との違いや学問的根拠を中心に、裏話をまじえてお話しいたします。

第413回「平田篤胤が遺したもの -幕末政治と思想のゆくえ-」

開催要項

日程 2019年2月9日(土)
講師 天野 真志(本館研究部)

開催趣旨

幕末期は、異なる価値観が乱立し、それぞれが自己主張を繰り広げる時代でした。その過程では、政治や文化のあるべき姿を構想するための指針が求められていきます。天保期に没した平田篤胤の思想は、「皇国」の世界的優越性を顕示するものとして注目され、彼の創設した私塾「気吹舎(いぶきのや)」に全国各地から多くの支持者を獲得したと言われています。

世界認識や政治関係が変容する時代のなかで、「平田国学」と総称される篤胤の学問体系は、「尊王攘夷」の旗頭として全国的支持を獲得した水戸学とともに幕末動乱の精神的支柱として多くの視線が向けられる一方で、平田篤胤という中核を失った気吹舎やその支持者は、篤胤が掲げた理想的な世界像と現実世界の狭間で激しく葛藤し、幕末政治に大きな激動を与えていきます。

明治期以降、平田篤胤の思想は明治維新の原動力として顕彰されていきますが、彼の思想は変革期の時代においてどのような場面で受容されたのでしょうか。また、篤胤の思想を継承する気吹舎やその支持者たちは、政治動乱のなかでどのような世界像を構想していたのでしょうか。

激動する幕末動乱は、新たな政治体制をめぐる政治抗争として描かれますが、近年では一連の政治活動を規定する学問基盤や交流関係を踏まえた議論が盛んになってきました。本講演ではこうした成果を踏まえつつ、篤胤が遺した思想を基盤とした政治活動とその役割を通して、気吹舎周辺の動向を軸に幕末政治と思想の関係について考えてみたいと思います。

第412回「市民参加で読む地震史料」

開催要項

日程 2019年1月12日(土)
講師 橋本 雄太(本館研究部)

開催趣旨

この講演では、『みんなで翻刻(外部サイト)』という市民参加型の地震史料解読プロジェクトを中心に、インターネットやコンピューターを駆使した史料解読の最前線の話題を紹介します。

古文書や古記録などの文字史料は、過去に起こった出来事について知るための貴重な情報源です。文字史料は、人文学のみならず、自然科学の諸分野でも研究対象とされることがあります。たとえば、地震学の分野では、計器を使った観測記録が残されていない江戸時代以前の地震についての情報を得るため、百年以上にわたって地震被害記録の解読が続けられてきました。しかしながら、日本国内には膨大な分量の文字史料が残されているのに対して、少数の研究者や学芸員が解読できる分量は限られています。

『みんなで翻刻』は、インターネットを通じて多数の市民と協働することで、地震史料の翻刻(文字起こし)を一挙に進めてしまおうという趣旨のプロジェクトです。現在は東京大学地震研究所が所蔵する地震史料の解読を進めており、すでに4,000名以上の参加者によっておよそ500万文字が翻刻されました。翻刻されたテキストは、研究者によって地震学や防災研究に役立てられます。

みなさんも地震史料の翻刻に参加してみませんか?